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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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『リカバリー70%』      (ヴァル)

ええと……良かったんでしょうか? こんなこと、勝手に書いちゃって……。”婚約者”と呼ぶからには、こういうシチュエーションがあったんじゃないかと思いついて、つい……。

ジン、物分り良過ぎ。イリス、男前過ぎ。

リカバリーとは回収率のことです。
アヤメはイドラに住むから、その時点で回収率50%。アカネをかっさらわれるのではなく、レアシスを(精神的に)もらったもので、まあ70%ってとこかなって……。ダメ? 香月ちゃん。


 ***** ☆ ***** ☆ ***** ☆ ***** ☆ *****




 


『娘さんを僕にください』
 時は晩秋。ところはイドラ。ジン・ムトウのサン・ルームでのことだ。

 まだ幼くさえ感じさせる柔らかな頬の線に、濡れたような黒曜石の瞳をきりりと上げ、エイロネイア皇帝陛下がそう言った。その隣に頬を赤く染めたアカネがうつむいている。
「僕と結婚するということは、僕の問題も彼女に肩代わりさせてしまうことだとわかっています。きっと苦労も多い。でも僕はアカネさんと生きて行きたいんです」
 ジンはシュアラ産のふっくら芳香を放つ玉露を飲むのも忘れて、ちょっとぽかんとした。夏にはリィンが同じような宣言をして、アヤメをさらって行った。今度はアカネ? もちろん、2人が付き合っているのは知っていたが……結婚? 少し意外な気がした。アヤメとちがっって、アカネは少し難しいところがあって、いつまでも自分の中の”女性”を認められないようなところがあった。アヤメはイリスのように、本能的に本質を掴んでムダに悩んだりしないが……アカネは自分に似て、そういうことに晩熟だと思っていたのだ。

「いや、君たちが自分でそう決めたのなら、俺は何もいうことはないよ。アカネ、おめでとう」
 ジンはとりあえず、父親の威厳を立て直した。
「だが、アカネはまだ王立研究院の留学中だろう? 結婚は修了してからかい?」
「ええ、そう考えています。国の方でも形式的に式典を挙げなくてはならないでしょうから、それはアカネの卒業後に。でも、彼女も春祭りの晴れ着を着たいでしょうから、イドラでの祭りを正式な結婚としたいのです」
「そうか。アカネが春の乙女に……アヤメと一緒に嫁いでいけるんだな?」
 ジンは不覚にも目頭が熱くなってしまった。この不器用な子が、愛する相手を見つけて巣立っていく。あんなに小さかったアカネが……。


「おい、勝手に決めるな。ジン」
 黙って聞いていたイリスが言葉を挿んだ。豊かな銀の髪が午後の陽射しを浴びて、幻想的な薄緑の光を放っている。銀色に輝く長い睫に縁取られた深緑色の瞳がまっすぐレアシスを見据えた。
「”娘をくれ?” おまえは両親ともいないんだろう? そんなところに娘をやるものか」
「母さん!」
 レアシスは息を飲んだ。確かにレアシスには味方になってくれる肉親がいない。腹心の部下や、兄代わりはいるけれども。
「イリス、俺だって天涯孤独だった。でも、君は俺のところに来てくれたじゃないか」
「そういうなら俺も天蓋孤独だ。種族最後の生き残りだからな。アカネはその俺の血を引いた貴重なバスティアンだ。簡単にくれてやらんぞ」
「母さん! 認めてよ? 私はレアシスと行きたいの。レアシスに家族を作ってあげたいのよ」
 イリスはその美しい顔を、きっとアカネに向けた。
「もうできたのか?」
「えっ! ううん……そんな、まだ……」
 アカネは真っ赤になってうつむいた。その細い手を、レアシスがきゅっと握る。ジンは今度は胸まで熱くなった。ああ。アカネは本当にこの青年が好きなのだ。そしてこの青年も……。
「でもアヤメなんか、もうお腹に赤ちゃんがいるのよ? それも3人も。どうしてアヤメはいいのに、私はダメなの?」
「アヤメはイドラに住む。リィンには数え切れないくらい家族がいる。全然、状況が違うだろう。第一、エイロネイアは今、大変な時じゃないのか?」
 レアシスはその端正なくちびるをきゅっと噛んだ。
「ええ、国の情勢は極めて不安定です。サボタージュにクーデター。もしかしたら隣国に乗っ取られるかもしれない。最悪の場合、僕が断頭台に送られる可能性だってある」
 覚悟の上なのだろう。アカネはショッキングな事実に動揺した様子も見せず、レアシスの手をきゅっと励ますように握り返している。

「そんな状況で、よく”娘をくれ”などと言い出すものだな」
 伝統的な家庭なら父親が言いそうな厳格なセリフを、どうかするとアカネより若く見える華奢な母親が投げつける。
「だからこそ、そんな時だからこそ、レアシスを側で支えたいの。一緒にいてあげたいのよ」
「そんな大変な役目を、アカネひとりでできるものか」
 イリスがきっぱり決め付ける。
「おい……」
 ジンがなだめる言葉をかけそうになった。
「だから、アカネをやるんじゃなく、その男をうちにもらえばいいんだ」
 イリスの言葉に、一同ぽかんとした。
「おい、それは婿に来いって言ってるのか? だって仮にも一国の皇帝がそういうわけに……」
「婿でも嫁でもいい。どうせイドラには戸籍なんかないんだからな。名前も家も、どうでもいい。どこに住もうとかまわない。だが、娘はやらん。代わりに俺とジンがその男の親になってやろうと言っているんだ」
「イリス……」
「そうすれば、アヤメやリィンも含めて、こいつには一気に数十人家族ができる。リィンはメドゥーラのうちの長男だから、イドラ全部がおまえの味方になる」
 レアシスにもやっと、イリスの朴訥な言葉が伝えんとしている意味がわかった。
「大変なときに、2人だけで何とかしようなんて言うんじゃない。まだできてもいない赤ん坊に頼って、家族を0から作るなんて言うな。家族はもうたくさんいるんだから」
「イリスさん……」

 レアシスはアカネの手をぎゅうっと握ってから、改めて頭を深く下げた。
「ドクター・ムトウ。イリスさん。僕をあなたたちの息子にしてください」
 イリスは、強い光を放つ2つの宝石のような双眸を猫のようにきゅっと細めた。
「最初からそう言えば、いいんだ。こちらこそよろしくな、レアシス」




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*COMMENT-コメント-
▽1900……
踏んじゃいました。余裕で1月中に2000行きそうだね。本家の『神星』サイトはようやく先週2000を数えたというのに。どういうこと? それも自分たちだけで踏んでるんだよね、これ?
▽にまにま小説
ゼミの中なのににまにましちゃいました。うわあ、初々しい。可愛い。あかねれーはどっちも可愛いからついにまにましてしまう。
アカネちゃんを愛でてる陛下が羨ましいんだか、陛下を愛でてるアカネちゃんが羨ましいんだかわからん(笑)。

そしてオチを読む前からイリスさん格好いい、とか思ってた私はやっぱりどS?
いやいや、私はイリスさんを信じていましたとも。本当に。

良かったねえ、れーくん一気にお父さん、お母さん、兄弟いっぱい出来て。まだまだ子供な息子ですが、ドクター、イリスさん、うちの愛息子をどうかよろしくお願いします。
▽星一徹なイリス
ちゃぶ台ひっくり返しそうなこと言ってましたが、イリスの真意が伝わってよかった。
ほらもう、父さんも母さんもできたよ、れーくん。甘えてね。そしていい思い出も悪い思い出も、健やかなる時も病める時も、これから一緒に積み重ねていこう。
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目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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