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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

2017.04│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『舞初め(まいぞめ)』   (ヴァル)

実は新手のるーちゃイジメ企画?
あいかわらず無敵のメーちゃんであった。

当面は、きりの髪がまっすぐ伸びるのは踊りの直後だけです。
ちなみにイズミも巫女舞のあと、ストパーかけたようなストレートになります。帯電状態?


 ##### ♪ ##### ♪ ##### ♪ ##### ♪ #####


 イズミはグロッキーだった。受験勉強をしながら、毎日、水神の巫女の踊りを練習しているせいかとも思ったが、そんなに複雑な舞でもないし、それほど体力を使う動きでもないはずだ。なのに、日ごとに消耗が激しくなってゆく。足が重い。腕が重い。
 空気が薄くなったように、踊っていると息が深く吸えず、頭痛がして身体中がだるくてたまらなくなるのだ。

 去年巫女を務めたフィーは、これほどしんどいなんて言ってなかった。私より5つも小さい子なのに。私、巫女の資質がないのかもしれない……エクルーにかまけすぎただろうか。だけど……ほっとけなかったのだ。

 初めてエクルーを見たのは、エクルーがイドラに帰って来た日。イズミは父親のグレン、兄のリィンと一緒に温室に来ていた。手入れは済んでいたが、最後の点検をして、ロボットたちに足りないものはないか、聞きに来たのだ。湿度が上がりすぎていたので、天窓を何枚か開けておこう、とセバスチャンと父がレバーをきりきり回していた。
 一行は、温室からかなり離れたところでルパを止めていた。腰までのまっすぐな黒髪をゆらして、ひとりの女性が立ち尽くしていた。それをがっしりした男性と、男の子がなだめているように見えた。一見、その一行は親子のように見えた。でも違う。ひとりの女性と、その女性を愛するふたりの男性だった。そして、その女性はここにはいない人のために泣いている。
 男の子は……兄と同い年のその子は……そのとき、その女性に母としても恋人としても拒絶されていたのだ。

「俺たちは帰ろう。セバスチャン、夕方にまたミルクと卵を届けにくるから」
 父が言って、私たちはそっと帰った。でも、あの男の子のことが気になって仕方なかった。

 次に見かけたのは、脊梁山脈に続く赤い岩肌の石柱の上。岩棚にイワツバメのように止まっていた。
「おや、指定席に帰ってきたな」
 父が笑う。父は、エクルーの父親と親友だったのだ。
「人前ではいっつもへらへら笑ってるヤツでね。笑えなくなると、あそこに止まってむっつりするわけ。親子だなあ」

 それ以来、岩棚で見かけるたび気になっていた。何を胸に秘めて、あそこにひとりで止まっているんだろうって。
 でもエクルーは知らない。私がずっと見ていたこと。


「差し入れに来ましたあ。注文通り、甘いものいろいろ」
「したあ」
 その男の子はすっかり大きくなって、しれっとした顔で泉の祠に顔を出した。もうすぐ2歳になる妹は、イズミが地面に伸びているのを見ると、びっくりして駆け寄って来た。
「みーちゃ、どうしたの。おつかれさんなの? るーちゃのくっきー、たべて」
「うん、ありがと」
 イズミはエクルーが差し出したミルク・ティーをすすると、ぱしぱしと粉砂糖をまぶしたクッキーを齧り始めた。

「消耗してるねえ。大丈夫?」
 一応、婚約者のくせに、しれっと言う。憎たらしい。
「今年は特にね。まあ、仕方ない」
「今年は特に!?」
 メドゥーラの言葉にがばっと起き上がったイズミは、またくらっと目が回ってエクルーに支えられた。
「そう。去年まではこのイドラの島の水脈だけを開いていた。ゲートのある泉だけじゃなく、すべての水脈を開いてエネルギーを交換する。それが水神の巫女の役割だ。我々の歌と祈りが島全体を目覚めさせる。だが……大陸にもいくつかゲートが開いたし、5つの塞も……」
「塞(さえ)?」
「うん。多分、うまく行けば大陸で流れを堰き止めていたものが、もうすぐ壊れると思う」
 メドゥーラがにやりとする。きっとまた、何かこっそり算段しているに違いない。
「だから、今年は折りよくイズミが巫女を務めることでもあるし、大陸の水脈までつなげて開けてしまおうかと」
「折りよく?」
「ちょうどいいだろ?」
 イズミはため息をついた。踊りが重いはずだ。今までの10倍以上の面積をしょっているわけである。ひどい。私には何の断りもなく。いや、断られたら断っていたかもしれないが。

 脱力したイズミに、また桐花が心配する。
「みーちゃ、しっかりして」
「どうだ、桐花。お姉ちゃんのお手伝いをするか?」
 メドゥーラがとんでもないことを、さらっと言い出す。
「お姉ちゃんはひとりで大変なんだ。桐花が助けてやってくれ」
「うん。きり、おてうだいします」
「よしよし。ちょっとおいで」

 自分だってこんなに消耗するのに、こんな2歳にもならない子を……と言いたいが、メドゥーラはさっさと桐花の額に絹の青い帯を巻いて、さらに宝珠を綴った飾り紐を額の両脇に垂らした。
「わあ。きれいです」
「本番ではもっときれいな装束がつく。今はとりあえず、額飾りと鈴だけだ」
 桐花は短い棒に七つの鈴をつけた巫女鈴を渡されてご機嫌である。
「いいか。私のマネをしてごらん」
「はあい」
 
 メドゥーラが桐花と並んで、泉のほとりに立った。
「いいかい。手は空間を切り開く」
「ひらく」
「足は踏み固める」
「かためる」
 桐花はいちいち繰り返してうなづいている。

「そうだ。行くよ、切り開く」
「ひらく」
 メドゥーラに続いて、桐花がしゃららんを両手を開いたとき、辺りが明るくなった。
「そう。そして、踏み固める」
「かためる」
 どしん、と足を踏み出すと、地面が揺れた。
「そうそう。うまいぞ、もう一歩。切り開く」
「ひらく」
 2人が両手を天に伸ばす。一層、強い光が手から伸びる。
「一気に開く!」
「ひらく!」
 両手を身体の左右に開くと、青白い空間が生まれてびりびりと帯電した。
「固める!」
「かためる!」
 2人が足を踏み出した途端地面に光の亀裂が走って、ずずん、と揺れた。
「そう、そして収める」
「おさめる」
 両手を胸の前で合わせたとき、光はすうと静まった。

「ほう。これほどとはね。桐花、大丈夫か?」
「はあい。おもしおいです」
 桐花は生まれつきのくるくるカールした髪が、まっすぐに伸びてさらさらと肩に揺れていた。
「ととしゃとかかしゃが、いっしょです」
 桐花がにこにこしている。

「どういうこと?」
 イズミは目を丸くしている。
「子供は7歳までは、神様からの預かり物だからな。せっかくだから使わせてもらおう。エクルー、いいだろう?」
「いいけど」
 エクルーは、桐花の特殊な能力については驚いていないようだった。だが、懸念は別のところにあるらしい。
「でも、そうすると桐花も潔斎しなくちゃいけないの?」
「もちろんだ。踊りも覚えてもらわなくちゃいかんし。まあ、春祭りまで、祠でイズミと合宿だな」
 メドゥーラがにやにや笑う。
「そんな。イズミともろくに会えないのに、きりまで取られたら、俺どうすりゃいいの?」
「おまえは当分、あの黒い子の手伝いで忙しいだろう? 桐花はこっちで面倒見といてやるから、心置きなく親友に孝行してこい」
「そんなあ」
「レアシスによろしくね、エクルー」
「るーちゃ、ばいばい」
「そんなあ」
 エクルーの情けない声が、祠に響いて消えた。
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*COMMENT-コメント-
▽るーちゃ…
桐花ちゃんににあどけなく可愛いスマイルで「ばいばい」なんて言われたら私立ち直れない…っ!!←
るーちゃ、可哀そうに。
桜「よしよし」撫でこ撫でこ。

ゲートを開くシーンがとっても印象的です!桐花ちゃん、がんばってねv
イズミちゃん、無理しないでね。頑張りやさんだからなあ…。

るーちゃ、我慢しなさい(笑)
▽ととしゃとかかしゃ
きりが舞うときは、キジローとサクヤが手伝いにくるので消耗しないですむみたいです。きりは2人に会えるのでご機嫌。るーちゃはあっさり捨てられるのであった(合掌)。
▽なむなむ
れ「(ふう)貴方と言う人は…。祭りの楽師もデザイナーもヘアプランナーも勤める人がこんなところで人の面倒を見ている場合ですか。即刻、お帰りなさい、まったく自覚というものに…(ぎりぎりぎり)」
る「いひゃい、いひゃい、わらった、わらったよう(泣)」

…という漫才をしてきたばかりのはずだが(笑)。
戻ってきたるーちゃに経緯を聞いて、またユーア様が辛辣な一言を吐きそうだ。

ゆ「…どっちが世話が必要な子供だか」
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目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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