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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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『赤い涙 後編』 (香月)

『え、何、このいちゃらぶ。私にしては珍しいよ? 何があったの?』
とか、
『陛下、あんた何をほざくの? え、馬鹿なの?』
とか。

言いたいことはいっぱいあったけど、やっぱり感動してしまいました。
れーくん、私、君の口から嘘偽りのないあの五文字を聞ける日がくると思ってなかったよ。アカネちゃん、お嫁に来てくれて本当にありがとう。

エリシアさんとるーちゃの対談はスペース的に入らなかったので、次の機会に…; すいません。

=====================================
 ばさり、と群青の絨毯の上に重たい音を立てて、黒衣が落ちる。
 羨ましいくらい白い胸板が目に入って、アカネはきゅ、と眉根を寄せた。覆い被さってくる肩と見た目より厚い胸に、ぺたぺたと触れてみる。
「どうかした?」
「……レアシスって日焼けしないの?」
「?」
 ちょっとだけ眉を潜めながら聞く。
「だって特に何もしていないのに、肌が白いんだもの。羨ましいくらい」
「日焼けする暇がなかったんだよ。それに僕の場合は、病的という。ちっとも羨ましいものじゃない」
「じゃあ、健康的で羨ましいって?」
「こういうの」 
 言ってレアシスはもう一度、アカネの白い胸に顔を埋める。甘い、じんとした微かな痛みが走って、アカネの身体が震える。また一つ、花が咲いた。
「悪戯ばっかり……」
「くす、ごめん」
 顔を上げて、少し意地悪く笑って。レアシスはアカネと視点を合わせようと身体を伸ばす。
 自然と足が絡み合った。あれだけ深く口付けあったのに、本当に欲張りになった。まだ足りない。ちゃんとした証が欲しい。
 足より、胸より、赤く染まった頬なんかより熱い場所が触れ合って、息を呑む。初めてのときはあれだけ怖かったのに。今はもう、何となく愛おしい。恥ずかしいけれど。
「まあ、でも……理由といえば理由があるのかも」
「?」
「ウルズの泉の伝説は知っているだろう?」
「エイロネイアの魔物はウルズの泉から湧き出した、っていうあれ? エイロネイアンの何割かは魔物の血を引いてるって」
「エイロネイアの皇族はね、その中でも上級妖魔の血を引いていると言われているんだ。日の光の影響を受けないのかもね」
 すっ、と身を乗り出すようにアカネに顔を近づける。
「植物人とシュアラ人と……妖魔の混血ってどうなるんだろうね?」
 アカネの頬がまた真っ赤になった。レアシスはくすくす、と小さく、何だか楽しそうに笑う。
「試してみようか?」
「もう……いじわる」

 熱い泉に杭が穿たれたとき、目の前がフラッシュアウトする。一度目は星雲が見えた。二度目は花火が。三度目は……なんだっけ? でも、今度は目の前が見えなくなったのは一瞬だけで、すぐに闇の中で微笑む彼の、黒曜石の綺麗な瞳が見える。
 深い泉の底を探るように、その熱がゆっくりと動く。びくん、と自分の内側が波を立てるのが分かる。波が来るたびに、お互いに打ち震えた。
 痺れの中に混じる痛みが、だんだんとなくなっていく。代わりにふんわりとした歓びが駆け巡る。彼が私を知っていく。探るように、深くまで。そうして私もまたひとつ、彼を知る。
 こつん、と一番奥の熱い熱が触れ合った。アカネの身体が跳ねて、吐息か声かわからない艶やかな音が漏れた。同時に、彼女を抱きかかえるレアシスの手が背中を滑り、熱い息が漏れる。
「ん、はぁ……あ……」
「痛い?」
 か細く首を振る。
「じゃあ……気持ちいい?」
「っ」
 とくん、と泉が一際高い波を打った。
 顔を逸らせたアカネが、少し怒ったように横目で視線を向ける。逸らせた顔の頬に手を置いて、ふう、と微笑んだ後、慈しむようにキスをした。
「別にいじめてるわけじゃない。一方的にするほど空しいことはないよ。だから」
「……」
 おずおずと視線を合わせて、アカネは薄く唇を開く。でも、ぱあっと頬を染めた後にふるふると首を振る。
 言えない。恥ずかしくてそんなこと言えるわけがない。だから代わりに手を伸ばして、彼の首に手を回し、きゅ、と力をと想いを込めた。
 ふ、と彼は表情を緩めて、またゆっくりと動き出す。
「ふ、ぅ、ああっ……」
 泉の中で円を描いた熱が、不意に一点をなぞって、何度も遊泳を繰り返す。抜け出せないループのように、アカネの唇から吐息が漏れる。ゆっくりだった泳ぎはだんだん速くなり、それにつられて息を吐き出す感覚も短くなる。だんだんと押し流される。突き動かされるように、身体が跳ねて生まれた奔流がどんどん上に上っていく。お腹に、胸に、頭の中に。
「あ、ん…っ、レアシス、あああ……っ」
「くっ……」
 名前を呼んで跳ねたとき、初めてレアシスの口から苦しげな呻きが漏れた。アカネが驚いて、波の中で薄く目を開く。
 その瞬間に、これまでのキスと違う。絡ませるような、吸い取られるような深いキスが降って来る。アカネは目を見開いてそれを受け止める。身体の中心がずくん、と疼いて、また頭の中が真っ白になって。
 波が暴れる。急に激しくなった熱が生む、信じられない高い波が、アカネの身体を揺さぶった。奥に届いて、待つまでもなくまた同じ場所を貫いて。
「く、ぅ……っアカネ……アカネ……っ」
「あ、ああっ……レアシス…」
 耳元で、お互いに名前を呼びながら、唇を合わせて熱を絡めて、波を生む。流されたい。高い波に、熱い波に呑まれてしまいたい。律動で身体が離れるたびに切なくなる。嫌だ、離さないで、帰ってきて、私もあなたが欲しい。
 そして願い通りに帰る熱に、波に、2人はようやくひとつになれる。


「……愛してるよ、アカネ」
「……私も。愛してる。ありがとう、レアシス」
「今、幸せ?」
「ええ、もちろん。あなたは?」


「……幸せだよ」






 分厚いカーテンの隙間から瞼の上に光が差す。もう朝なんだ。
 かちゃり、と小さな金属音がした。アカネは毛布の感触を肩に感じながら、薄目を開けた。
「すまないね、起こした?」
 すっかり身支度を整えたレアシスが、アカネの視線に気が付いて振り返る。昨日の黒衣とは違う、しっかりとした金属と布を組み合わせた立派な軍服。漆黒のマントに、胸元には八咫鴉の紋章が誇らしげに掲げられている。かちゃり、と鳴ったのは腰元に提げた護身用の短刀だろう。
 皇帝の装束だ。久しぶりに見る。アカネは少しの間、呆けて見ていた。少し、雰囲気が変わって見える。凛々しくて、それでいて誇らしく。
 ううん、私もこの姿の隣に立つんだもの。しゃんとしなきゃ。
 身体にシーツを巻きつけて立ち上がる。
「寒いよ?」
「イドラはもっと寒いもの。平気よ」
 笑って朝日の中で身を寄せる。
「……ねえ、一つ、わがままを聞いて?」
「何?」
「……新しいドレスが欲しいの」
 レアシスが驚いて目を数度、ぱちくりと瞬かせた。アカネはくすくす笑いながら続ける。
「あのドレスはね、イズミにあげることにしたの。エクルーのプレゼントとして。
 背丈も問題ないはずだし、大丈夫。イズミなら歌も踊りも演奏も、私なんかよりずっと上手くできるわ」
 何とも答えづらい表情で、レアシスはアカネの肩を抱いていた。自分より高いところにある彼の目を、下から覗き込みながら、
「だから、今度はあなたがくれるドレスが欲しいの。それで夜会に行きたい」
「……」
「駄目?」
「いや、わかったよ」
 彼は少し眉根を寄せながら、それでもどことなく嬉しそうに微笑んだ。アカネも上機嫌に微笑んで、少し冷たい鎧の胸に頬を寄せる。
「アヤメもまた行きたい、って言ってたの。今度はイズミも呼んで、6人で行きましょうよ」
「まったく……君には叶わないね」
 いつになく、少しはしゃいで言うアカネに根負けして、レアシスは苦笑した。昨日の悩みが本当にどうでもよくなってくる。悩みも歓喜も、くれるのはこの笑顔。まったく、女神[メシア]を手に入れるのは一苦労も二苦労もするものなんだな。でも今は、それも楽しいかもしれない。たまには人の言葉に翻弄されるのも悪くない。
 肩を引き寄せて、唇を近づけたと同時にこんこん、と私室のドアがノックされた。アカネは反射的に身体を離そうとしたが、逆にレアシスはシーツを纏っただけの彼女を、マントの中に覆い隠すように抱き締める。
「アリッシュか?」
「……もうすぐ会議が始まります。お急ぎください」
「わかった。すぐに行く」
 ドア越しにそう伝えただけで、こつこつと生真面目な足音は去っていった。
「……行くの?」
「すまないね、忙しなくて」
「そんなことで謝らないで。誰にでも仕事はあるんだから。お昼には帰ってくるんでしょう? ちゃんと待ってるから」
「ありがとう。それじゃあ……」
「待って」
 離そうとした彼のマントを捕まえて、アカネはもう一度、レアシスの顔を見る。
「ちゃんと言うことがあるでしょう?」
 レアシスは苦笑してアカネに向き直る。身を屈めて、おあずけになっていた優しいキスを交わして、



「いってきます。アカネ」
「いってらっしゃい。レアシス」



 そうして彼は、今一度力強くマントを翻した。


=========================================

『赤い涙』/川田まみ

夕焼け空が染める街と君の横顔
何を思い、何を見つめ、何を感じているの?

例えばその先に僕達の未来(あす)が見えないなら
僕は君の手を握り、どこまでも駆けて行くよ

笑顔と夢と愛しさと喜びを取り戻して
今でも遅くない
形あるもの、それだけがここにいる全てなんて
誰も責めないから

夕暮れ時は焦る心忘れさせてく
忙しい流れを切って写真にしたようで

この場所が好きだと話してた君の頬をつたう赤い涙
もう二度と、会えない予感がしてた

涙も嘘も悲しみも後悔も、全て君とここにいた証だよ
別れは二人だけが知る思い出の始まりだと
この胸に誓って
またいつか…

囁く声がこのまま遠くなって
君の影も夕日に飲まれてく
無駄に過ぎ行く時なんてないんだと言い聞かせて…

笑顔も夢も愛しさも喜びも呼び起して
永久(とわ)に響き続ける
形あるもの、それだけがここにいる全てなんて
信じられないから

youtube→









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*COMMENT-コメント-
▽うわあ、お出かけのチュウだあああっ!
ホント、まさか、あの5文字をれーくんの口から聴ける日が来るなんて……(ほろほろ)。 アカネを嫁にやってよかった。春祭り用の白い衣装は支給されます。
さあ、午後は”風雲白鳥城”!
▽って、あっさり2000越えてるし
そういえば……アカネも見えたのね? 星雲……。割とポピュラーな現象なんでしょうか。サクヤは毎回メシエ番号で評価していました。つまり……ええと……どのくらいキモチヨカッタか、というのをですね、げほげほ。
▽あ、風雲ついた(笑)
お母さんも感無量。あの根暗な(オイ)子がここまで…ほろほろ。

ポピュラーな現象というより…イメージなのかな? 一般の漫画だのTVだのでそういうシーンをごまかすのに、花火だとか星雲だとか出てくるような。
そういえば仰ってましたね、メシエ番号…げーほげーほ。
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目次(香月)
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