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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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『魂100まで』  (ヴァル)

3つ子、初登場。
アルス、いきなりやっつけられています。
でも、反省してないな、これ。


 ***** ☆ ***** ☆ ***** ☆ ***** ☆ *****


 

 3つ子がイドラを離れた理由をひとことで説明するのは難しい。まあ要するに、例によってメドゥーラにうまくのせられたのである。

 3つ子は、双子の4つ下に生まれた。双子のアカネとアヤメがごく赤ん坊のときから、月の動きやミヅチの機嫌に敏感だったのに対して、慎、凛、賢はホタルの幼生とも話せなかった。
「こいつらは俺似だな」
 鈍感仲間が増えて、ジンはむしろ喜んだくらいだ。
「そうだな。月が重なったくらいで5人全部にぴーぴー騒がれたらたまらん」
 イリスも、ジンに似たやんちゃそうな男の子が気に入っていた。しかし、当人たちはそう簡単に納得できないのである。

 姉達や幼馴染の友人達には当たり前にできることができない。そのことをからかうものなどいないが、口惜しくてたまらない。鈍感を遺伝してくれた父親が恨めしい。ついでに天才的頭脳もくれればいいのに、3つ子の学力はどうみても平均だった。”もしかして橋の下で拾われたのか”と疑おうにも、3人は笑ってしまうくらいジンにそっくりなのである。

 3人はメドゥーラに相談することにした。
 メドゥーラは愛弟子のイリスを自分の孫のようにかわいがっているので、3つ子もひ孫の気分なのである。
「家出するのにいいとこ知らない?」
 子供たちの言葉に、一瞬目を丸くしたメドゥーラは笑い出した。
「家出……ね。いろいろあるが、どんなところがいいんだ?」
「うーんとー……イドラと違うところがいいな。見たこともない動物とか、食べ物があって……」
「冒険できるところがいい。古代遺跡とかナゾの財宝とか」
「テレパシーが当たり前じゃない国がいいな」
 3人の言葉を注意深く聞いていたメドゥーラは、にやりと笑った。
「うってつけの場所がある。わしの頼みを聞いてくれれば、おまえらの親にうまく言ってやろう。どうだ? ミヅチの仕事を手伝う気はないかね?」
 慎、凛、賢は目を輝かせた。ミヅチの仕事! ミヅチに仕えるのは、イドラでも最も感応力の強い泉守りの役目なのだ。自分たちには縁のないことだと思っていた。
「ミヅチは昔、この星全体に住んでいた。人々はミヅチの助けを借りて、水や風の声を聴きながら平和に生きていた。ミヅチはイドラに隠れて生き延びたが……今の世界を心配している。イドラを出て、他の土地の人たちと話をしたいと思っているのだ。おまえたち、その手伝いをしないか?」


 というわけで、3人はシュアラの修学院初等科に入学することになった。ひとりひとり、胸にミヤヅ貝のペンダントを下げて。
 ミヤヅ貝はツキミ貝とも呼ばれる淡水産の二枚貝だ。ホタル石を産する地底湖に育ったミヤヅ貝は、石の気を帯びているのだ。もちろんホタル石のような力はないが、水や月の気を感知するめじるしに使える。
 シュアラにミヅチを呼ぶには、イドラの泉と時空をつないだゲートを開く必要がある。3人はシュアラのあちこちを歩いて、地脈の流れ、水の流れ、気の流れを調べて、ゲートを開くのに最適な場所を探した。そして同時に泉守りを探す必要があった。淀みをはらし、きれいな水を保つ存在。そんな人間の側に寄ると、ミヤヅ貝が光るはずだ。泉守りを見つけて、強い地脈の流れるきれいな水域を見つけたら、ミヤヅ貝を使ってゲートを開くことができる。

 週明けに修学院で会ったアルス先生の胸にミヤヅ貝が揺れていたので、3つ子はびっくりしてしまった。
「先生! その貝、どこで?」
「ああ。これ?」
 アルスは自慢げに貝を見せた。

 関所町でイドリアンの少女に会った話を聞いて、3つ子はさらに驚いた。
「イドリアンってきれいな人間だよねえ。野生の山猫みたいにしなやかで……ただ歩いているだけで、訓練されたバレエ・ダンサーみたいに優雅だった。それに、あのしっぽの手触り……」
「しっぽ? 先生、しっぽを触ったんですか?」
 3人の仰天した様子に、アルスの方も驚いた。
「先生! それ、どういうことかわかってるんですか?」
「え……どういうこと?」
 3人の中で一番、デリカシーのある賢がため息をついた。
「先生がご存じないのは仕方ないですけどね、イドリアンにとってしっぽというのは……」
「しっぽというのは?」
「ええと、だから……親子とか女の子同士ならともかく、男が女の子のしっぽをなでるってことは……」
 賢が言葉を探して、目を白黒させている。そこで、凛がずばりと言い切った。
「しっぽはイドリアンの性感帯なんです。シュアリアンでいうと、胸触ったか、キスしたようなものですよ」
 アルスはガンと頭を殴られたようなショックを受けた。
「で、でも……僕はちゃんと聞いたんだ。人文学が専門で、イドリアンに憧れているからって話して……そしたら、彼女がいいって……」
「それって、学術目的の名を借りて、痴漢やっていいですかって聞いて胸をもんだようなものですね」
 慎にしみじみ言われて、アルスは返す言葉も出てこなかった。
「先生。これはもう、責任を取るしかないですよ」
 凛が追い詰める。
「責任ってどう……」
「そりゃあ、女の子を傷ものにしちゃったんだから、責任を取る方法はひとつですよ」
「え……」
「結婚するしかないですね、先生」
 賢が結論づけた。
「いや、もちろん俺はうれしいけど……彼女の気持ちを聞いてみないと……」
 しどろもどろするアルスに、3人が笑い出した。
「おまえら、先生をからかうな!」
「でも、しっぽの話は本当ですよ。先生、ちゃんとしなよー!」
「そうそう。その貝をくれたってことは、かなり脈があるよな」
「イドリアンにプロポーズするなら、歌がうまくないとダメなんですよ」
 囃し立てるように笑いながら、3つ子は廊下を走って言った。
「こらー、廊下を走るなー!」 

 アルスはため息をついた。木陰で2人きりで、しっぽをそっと見せてもらった。確かにあれは、2人の秘め事だ。どれほどの勇気を出してくれたんだろう。可哀相なことをしてしまったんだろうか。でも……忘れられない。もう一度、会いたい。いや、一度と言わず……。
 せっかく大事な貝を託してくれたんだ。ちゃんと泉守りを探そう。そしたら、彼女に会える。ゲートができれば、もっと会いやすくなる。あのやんちゃ坊主どもと一緒に、ミヅチをシュアラに呼ぼう。そうしたら、弟も見つかるかもしれない。そうして、いつかイドラの春祭りに行こう。春祭りで、アビーに会うんだ。いつか、きっと。
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*COMMENT-コメント-
▽べた惚れしとるな。
の割りに反省してないな。お前。他所様のお嬢さんを…。
本当にいろいろしっかりしてくれ、アルス。

しんりんけん、メドゥーラの策略だあ。さすがお婆ちゃん。
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目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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