忍者ブログ

《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

2017.04│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『TRANSMIGRATION』  (香月)

『妊娠ねた』+『ヘビースモーカー』って美味しくないか? という下らない発想の元に小ネタ。ただのルナちんのノロケです。
前半はあーちゃ身篭ってるとき。後半はダイアナ妊娠時。



========================
 
 
 気がついたのは、何でもないときだった。ただ漠然と、「ああ」と気づく。
 不安や不満以前に、胸に落ちたのは納得。まあ、それもそうだろう、と納得して。襲ってくるのはずん、とした悩みの種。不器用ながら洗い終えた皿を片付けて、ふとお腹に手を当てる。
 ――ごめんね。あんたが悪いわけじゃないのにね……。
 無闇に広いリビングのソファにかけながら、溜め息を吐く。最近、ご飯が食べづらい。ストレスを食に当てる質だったのに、さすがにこれはつらい。顔をあげると、ややアンティークな時計が目に入った。
 ――まあ、物は試し。
 試しにカウントしてみる。あと30分、というところか。

 かちゃり。

 きっかり30分後。玄関のドアが鳴った。出迎えるか否か、悩んでいるうちにリビングのドアが開く。
「……おかえり」
「何だ、遅いな」
「ぼーっとしてたらね」
 半分、本当。半分は嘘。少し疲れた表情をした旦那は、絹の上着を脱ぎ捨ててソファの上に放る。少し頭痛でもするんだろうか。眉間を抑えてキッチンに水を飲みに行く。私は何とはなしに脱ぎ散らかされた上着を拾って、鼻を近づけた。
 ……わかりやすい。まあ、隠す気がないだけかもしれないけど。
 皺が寄らないように畳もうと手を動かしていると、背中からのしり、と重みがかかる。色のない、切り揃えの悪い髪が首筋をくすぐった。
「何してる」
「どっかのでかい子供[ガキ]が散らかしたもんを片付けてるだけよ」
 普通の夫婦だったら、泥沼にでもなるんだろうか。どこか外側からそれを眺めつつ、その気にならない程度の緩やかな愛撫を受け入れた。

 週に一回程度に増えた出張と。

 そういう日に限って30分遅れの帰宅。

 重ねて以前はつけることもなかった、男性用香水の淡い匂い。

 うん、まあ単純に――。
 わかり、やすいなぁ、って。







「……うわ」
 棚の最奥から(とは言ってもほんの2年前だけど)出てきた古い日記に、小さく声を漏らす。いや、それを日記と呼んでいいものかわからない。手のひらに収まるほどの小さいメモ帳に、ストレスの種をつらつら書き殴っていただけだ。とりとめのない不安と、やり場のない感情をヤツ当たっていただけだ。
 ……ああ、改めて見ると根暗だな、自分。やだやだ。
「こういうものはさっさと燃やし、って」
 急にやや変色したメモ帳が手のひらから消える。
「……はあ、なるほどなぁ? 随分と失礼なことを考えるじゃねぇか」
「ち、ちょっと!?」
 ぱらぱらとページを捲りながら、大げさに息を吐く背後の旦那から引ったくり返す。何というか、精神衛生上、非常によくない。くそ、顔に興味本位っていう言葉が張り付いている。奇妙な気まずさに、メモ帳を庇いながら手を止めていたら、いつものように膝の間に座らせられた。謝るのもただの言い訳な気がして黙っていると、後ろから両腕ごと腕を回されて抱きしめられる。
「随分と酷い女もいたもんだ。さすがの俺も不倫の疑いがあったとは知らなかったぜ」
「……だって」
 水に流せ、とも言えずに押し黙る。見上げた口元から漏れる、くつくつとした笑いは、からかわれているに違いないのだが、こっちはどうにも笑えない。
「……まさかわざわざ煙草吸いに行ってるなんて思わないじゃない」
「誰に聞いた」
「あんたのご主人様がご丁寧に、"他人の私邸を喫煙所にしないで欲しいんだけど"って愚痴りに来たのよ」
 頭上で『あのお節介が』と悪態を吐く声がした。子供が文句を言うような声に、何となく強張っていた肩の力が抜ける。腕を囲っていた、私より一回りは大きな手が、まだ膨れてもいない腹をくすぐるように撫でる。何故、あの頃はこういう動作を無視して思い込んでいたんだろうか。少し、自分に呆れる。
「今回は吸いに行かないの?」
 あー? と間延びした返事が聞こえた。眉をひそめると、顎をつかまれていつものような深いキスが降ってくる。
「向こうじゃ吸うが、どうせ口に入れるならこっちのが美味い」
「馬鹿」
 阿呆か、と思いつつ微量の熱を感じる頬が恨めしい。もー、仕事にでも何でも行ってしまえ。そうは思うものの、身体はこてん、と広い胸にうずまって、また嫌になる。重症だ。私。
 少しだけ微睡んで、目を閉じようとして。でも急に現実に引き戻されて、ざっと血の気が引いた。
「ただいまーっ! かあしゃー、じゅーすちょーだいーっ」
「おじゃましまぁしゅー」
 はっとして手元のメモ帳を見る。さすがにあの子に見られるわけにはいかない。それは、あの子だって当時の空気に気づいていたかもしれない。でも駄目だ。
 慌てて隠そうとすると、その手を捕まれた。メモ帳を奪った彼は、テーブルの上の、使用回数のめっきり減った灰皿の上でそれを握りつぶした。
「……フレイ・フレイア」
 ごうっ。
 一瞬で白い灰に還る。はらり、と灰皿の上に広がる、白い灰。驚いて顔をあげるより先に、ばん、と勢いよくリビングのドアが開いた。
「まあーた、とうしゃがかあしゃひとりじめしてるー」
「うるせぇな。自分のものを好きにして何が悪い」
「カシスとうしゃ、りゅなかあしゃ、おじゃましましゅー」
 一気にリビングの空気が変わる。「かあしゃ、じゅうすー」ともう一回せっつかれて、「はいはい」と立ち上がった。逃げるようにキッチンに向かう。
「って、あーっ! とうしゃ、まさかたばこすったのーっ!? しんじらんないっ!」
「カシスとうしゃ、めーですよっ! りゅなかあしゃのこと、かんがえてあげてくだしゃいっ」
「へいへい。どいつもこいつも、ぎゃあぎゃあぴいぴいうるせぇな。たまには俺を潔く休ませろ」
「めーっ! これはバツーっ!」
「ばつですーっ」
 けたたましくどたどたと騒がしくなるリビング。ぼすん、という音はクッションだろうか。
 それを聞きながら、いつのまにかキッチンの床にしゃがみこんでいた。視界が歪んだ目に、固く腕を押し付ける。

 ……ああ、嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
 信じてるよ、考えてる。馬鹿なくらい。呆れるくらい。何故、私は今までこんな想いを無視出来ていたんだろう。気づかないことは恐ろしい。気づいていまえば、もう後戻りできない。
 痛い、こんなに痛いのは初めてだ。でも知らなければよかったとは思わない。
 ああ、こんなこともあるものなんだ。



 幸せすぎて、胸が痛い、なんて。






==========================
『TRANSMIGRATION』/ 奥井雅美   youtube→

あなたの腕 熱い吐息
「I love you」私だけのために
何故でしょう'愛'故に落ちてゆく奈落

少女の頃見た映画の中では ひとりの美しい堕天使が
許されぬ愛の泉にふれて
罪を重ね命かけた

時が流れて大人になった
私はきっと 私のすべてを
あの天使のように…

出会えた瞬間-toki- 白い閃光-hikari-
イナズマがココロ切り裂いてく
芽生えた深い記憶 何度も抱き合ったと信じた
何故でしょう'愛'他に何も見えなくて

信じられる者 裏切られる者 見えない糸で惹き合いながら
許されぬ愛の泉にふれた
罪をそっと償うように

生まれ変わってここにいたいと
私はきっと 遠い昔から
望んでここにいる

疼きだした 白い背中
奪われた羽根 赤い血潮が
芽生えた深い記憶 覗いた窓映る面影
何故でしょう'愛'まるであの天使のよう

思い出した 深い記憶
空を舞う羽根失った過去
愛した人はあなた
結ばれぬままここまで来たよ
あなたの胸 熱い吐息
今度こそ私だけのため
もう一度'愛'故に落ちてゆく奈落
==========================

PR
*COMMENT-コメント-
▽うわあ、ごちそうさま
中ったよ。食中毒だよ、ごちそうさま。アレルギーでるよ、花粉症だよ、レセプター・ブロック要るよ。
あまあま~。げっぷ
▽ご購読の際は
状態回復用ポーションをお手元に置くのをお忘れなく。(遅い)
ちなみに男性用香水は、煙の匂いのまま帰ろうとしたらエリシアさんに「あんた、正気?」と言われて押し付けられた。

曲のyoutubeをつけるの忘れてましたhttp://www.youtube.com/watch?v=DPe18XuUQYQ
▽るーちゃは激しいダメージを受けた!
きっと文中に登場していないが、書庫整理かなんかしていてこの光景を見ていたるーちゃがHP残り3(微妙ー)になるダメージを受けたと思われる。
まだ青春真っ只中。負けるな、るーちゃ!
▽がんばれ…
ごめん、るーちゃ。欲望に正直なカシスが大好きなんだ。この子、何か見せびらかす趣味あるみたいだから…
▽テンプレート
涼しいのに換えてみました。涼しいかな?
しかし……プラグイン、長ッ!!
そのうち研究して3カラムとかに編集してみます。とりあえず、下ーーーの方にドラッグしてください。
*COMMENT FORM-コメント投稿-
  • この記事へのコメント投稿フォームです。
Name:
Title:
Mail:
Url:
Color:
Decoration: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Message:
Pass: ※編集時に必要です。
Secret:  ※チェックすると管理者へのみの表示となります。 
*TRACKBACK-トラックバック-
  • この記事のURLとトラックバックURLです。
  • 必要に応じてご使用くださいませ。
この記事のURL▼
この記事のトラックバックURL▼
目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
最新コメント
[09/12 梧香月]
[05/16 Backlinks]
[12/16 ヴァル]
[12/15 梧香月]
[11/25 ヴァル]
[11/21 小春]
[09/28 ヴァル]
カレンダー
03 2017/04 05
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
ギャラリー



漫画



季節のアルバム




漫画
カウンター