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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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『嘆キノ森-PSI-missing-』・EPISODE1  (香月)

おっちゃん、騙されてる、騙されてるよぉぉぉっ!?
子供に大金持たせちゃいけません。

えーと、とりあえず『嘆キノ森』・ルナ=ディスナー編です。

=====================================
 

 キジローは国境近くの村に辿りついた。村という名前はついているが、むしろ小さな町、というほどの大きさはあった。
 微妙な日の傾き具合だ。今日はこの町で1泊して、旅支度を整え直そう。非常の食料もずいぶん、少なくなっていた。
 適当な宿を見つけて、部屋を取ってから買い物に出た。


 紙袋を抱えながら、キジローはふと一軒の店の前で足を止めた。
 キジローも何故、その店の前で止まってしまったかよくわからなかった。古ぼけた看板と、読めない文字。ショーウィンドウの中を覗くと、何やらアンティークな、何に使うかもよく分からない品物が複数並んでいる。
「……」
 キジローとはあまり縁の無さそうな店だったが――。
 何とはなしに惹かれるものがあって、キジローはその看板を潜った。


 かび臭い匂いと、何だか埃っぽい。お世辞にも衛生感があるとは言えない店だった。
 店内は古臭い調度品や、装飾の施されたテーブルや椅子がところ狭しと並べられて、キジローは肩を狭めて店内に入らなくてはならなかった。
 客はキジローの他にはたった一人。
 親のお使いか何かなのか、随分と背丈の低い少女が、カウンターでフードを被った店主と、何やらぼそぼそと話していただけだった。
 キジローはゆるゆるとそこら辺のものを眺めながら、店内を見回した。
 アンティークなガラスのランプが、古めかしいテーブルの上に乗っている。薄いガラスがレースのように傘になり、優美なラインの足が伸びている。キジローはぶら下げられたタグを見る。
 ……ゼロが2つ違った。
 キジローは溜め息を吐く。ふと首を傾けたとき、
「……?」
 戸棚の上に、埃を被ったぼろぼろの本がある。キジローは崩れないよう気をつけてそれを手に取った。
 表示に煤けた題名が見え隠れしている。キジローはふう、と息を吹きかけて埃を払った。そこには懐かしい文字がある。
『シュアラ童謡集』
 自然とキジローの顔に微笑みが浮かんだ。値段を確認して、カウンターに向かおうとしたときだ。
「ちょっと、それくらいもまけらんないわけ!?」
 だんっ、とカウンターテーブルが叩かれた。キジローも唐突な音に目を見開いてしまう。トーンの高い声がカウンターから上がっていた。
「と言ってもこっちも商売だからねぇ……これ以上はまけらんないよ」
「むううううう……」
 カウンターに肘をついた店主の言葉に、向かい合っていた少女が不服の声を漏らす。
 歳の頃は10を少し出たところだろう、赤いベールに赤い装束。よく見れば、胸元と腰に装飾品と短剣、それからごついホルスター。改めてよく見ればとてもお使いとも見られない雰囲気の少女だ。ひょっとして旅人か? ベールの中からブラウンの長髪が僅かに覗いている。
「……どうしても?」
「ごめんねぇ、どうしてもだよ」
「……」
 少女の顔が少し泣きそうに歪んでいる。キジローはふと、先日、会おうとしていたスオミのことを思い出した。あの子もあんなときがあった。今は立派に大学も卒業する頃合だ。
 懐かしいな、あの頃は大好物の親子丼を拙い手つきで、さじを使って食べていたっけ。少しずつ冷ましながら。
「ちょっと待ってくれ」
「?」
 横槍を入れたキジローに、店主も少女も振り返る。がたいのいい、大男を少女は首をいっぱいに持ち上げて見上げた。
「お嬢ちゃん、いくら足りないんだ?」
「えっと……」
 少女は俯き気味に金額を口にする。けして無理のない値段だった。キジローはほっと息を吐いて、カウンターに小袋を置いた。ぼろぼろの本を棚に戻す。
「ちょっと、おっちゃん……?」
「そいつを使え。まあ、いきずりの縁だ。お小遣いをもらったと思っとけ」
「……あ」
 キジローは少女のベールの頭をくしゃくしゃと撫でて、店を後にした。
「……」
 少女はますます剥れた顔でその背中を見送った。店主がその肩をつつく。
「お嬢ちゃん、これでいいのかい?」
「……あ、うん」
 少女は頷きかけて、口元に手を当てた。そしてふと、男が戸棚に放置していった本が目に入る。少女はそれを手に取ると値段を確認してカウンターに戻った。


 店を出て、最初に感じたのは違和感だった。キジローは眉を潜めて辺りを確認する。
 ――3人……いや、もっとか?
 キジローは首もとの布地を引っ張って、顔の下半分を覆う。そして足早に走り出した。


「……っ」
 男を追うようにして荷物を担いだ少女が店の外に出たとき、そのすぐ脇を二頭立ての馬車が素通りしていった。御者は黒い服を着て、深く俯いている。
 一瞬のうちにそれを確認した少女は舌を打つ。周りで複数の人間が動く気配がした。
「あんの、オヤジ……っ! ったく、手がかかる……っ!」
 少女は周りを見回すと、寛いでいた二頭立ての乗合馬車を見つける。御者は呑気に水を飲んでいる。それに駆け寄ると、彼女は御者の男の服を引っ張った。
「どうしたんだい、お嬢ちゃん? 馬車に乗りたいのか?」
 少女は懐に手を入れると、やたらと膨れた袋を取り出して、御者台に置いた。御者はその袋を覗いて目を剥いた。多数の金貨と数個の宝石が詰まっている。
「その馬車、あたしに売って! その馬車くらいなら十二分にお釣りがくるはずよ!」
「へ、へい……っ!」
 うろたえた男は馬車を降りる。少女は小柄な体を弾ませて馬車台に跨り、手綱を引いた。







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*COMMENT-コメント-
▽うちの父さんが、御世話になります。
 父さんは、子供に弱いんですよ。あっ、あっ、でも別にロリコンというわけじゃなくって、子供を見ると放っとけないとか、ついかまいたくなるというか……あっいえ、全然そんなヘンな意味じゃなくって、ただやさしくしたいだけで……ああ、どんどんおかしな感じに……私、何言ってるんだろ。
(なぜかうろたえているスオミ19歳。エイロネイアで偏った知識を身につけたと思われる)
▽こちらこそお世話になります
スオミさん落ち着いて(笑)

ま、ロリコンとゆーよりババコンらしいけどさ。
ただあの天然ジゴロはどーにかした方がいいんじゃないの? 親子クリソツって感じ。
(余計なお世話の12歳。生意気ですいません)
▽頼りない姉がひとり殖えたかも
とりあえず、もう気分的にはスオミはルナちんの姉ですね。
ルナちんがるーちゃの姐さんなら、もれなくスオミ姉さんもロイ兄もついてくる。
そうすると、大きいアルやエノもついて来る。

イドラでまた一気に兄弟姉妹が殖えますねえ。
でも……そうすると…・・・レンカノもるーちゃもれーくんもみんな…人類みな兄弟?
▽……
いいや、もう人類皆兄弟で(笑/投げるな)。
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目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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