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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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『瑠璃の鳥』前編   香月

ありしん、出会い編(まだアリッシュ出てないけど)。前編です。
カシス、しばらく忘れてたけどあんた医者だったね。そういえば(オイ)。
久々にDarker then Blackなれーくんのターンだったけど、いっそこの口調ムカつくv

この地底湖は『嘆きの森-PSI missing-』でも登場します。あの地下組織のあった場所です。

=======================
 


 水の輪がのぼる。
 水面の終着を目指しながら、たゆとう水を愛おしく。

 流れていく。
 たゆたゆと。
 ただ温い温度の中を。
 たゆたゆと。
 行方も知らぬままに。

 そのさきを知らぬまま。
 見果てぬ夢も知らぬまま。


 A bond with you-瑠璃の鳥-


 湿った鍾乳洞の中に、かすかな異臭が混じる。真っ当な人間なら嗅ぎ分けられる代物ではないだろうが、何かと異常な身体を持つレアシスの鼻の奥には届くものがあった。
 黴た腐臭、血臭。人間以外のものも混じっている。鍾乳洞の作り出す清水さえ、爪痕というものはなかなか癒せぬものらしい。ああ、浅はかだな。
「……年月が傷を癒すというのは、嘘っぱちのようだね」
「……」
 ぼそりと呟いた声に、隣に佇む黄昏の髪の剣士は無言のまま、肯定とも否定ともつかぬ視線をレアシスに向ける。何かを言いかけて、やはり口を噤んで針のむしろのように尖った鍾乳洞の天井を眺めた。
 その彼を横目に、ふ、と口元に笑みを漏らすと、レアシスは低い岸壁を飛んだ。剣士――レンもそれに続く。
 洞穴の中に響いたのは、かつん、という靴音ではなく、ぴしゃり、という湿った音だった。
「……随分と湿気の多い場所だな」
「鍾乳洞とはそういうところだよ。特にここは、そこそこ大きな地底湖に繋がる地下空洞だしね」
「以前にも来たことがあるような口ぶりだな」
「勿論……。あれ? 説明していなかったっけ?」
「知らん」
「それはすまない。少し焦りすぎた」
 薄暗い地下道に、ほのかな灯りを手に掲げながら、黒服の少年はくすくす、と笑った。湿った地下道の先を眺める目には、懐かしさは欠片もない。
 ……懐かしいという感情は、安らぎと共に浮かぶ感情だ。少年の中では、そんな記憶が浮かばないのだろう。おそらくは。
「10年近くは前になるかな? ここに地下組織を造っていた人間がいたんだよ。……まあ、詳しくは人間でもないんだけど。
 ……消えて久しいな。結構、手間をかけた」
「お前がやったのか?」
 少年の下へ身を寄せるようになってから、レンは彼の狡猾とも言える手回しと察しの良さを知っていた。人道的なものばかりとはお世辞にも言えなかったが、だからといってレンには彼を責める権利はない。
 レアシスはいつもと同じように小さく笑って首を振る。
「厳密には僕ではないよ。罠を仕向けたのは“狐”。僕はまあ、その罠を避けて間接的に関わった程度かな?」
「……とんだ狐はお前もだと思うがな。10年前といったな。……一つ聞くが、お前は幾つなんだ?」
「そうだねえ。大体、マイナス3年くらいかな」
「……笑えない冗談は止せ」
「どうせ君は、気の利いた冗談を言っても笑わないだろう?」
 くすくす、と薄ら笑いを浮かべる青白い横顔は、もう半分ほど狂っているのかもしれない。だが、己にそれ以上の声をかける資格も甲斐もないことを、レンはよく知っていた。
「くっくっく。潔い言葉じゃねぇか。今か今かと死人になるのを楽しみにしてやがる」
「……口を慎め。聞こえるぞ」
 自分たちよりも大分遅れて岸壁を越えてきた白い影に、レンは苦々しい表情を浮かべた。
 彼が危なげなく着地した拍子にばさり、と無い片腕の裾が広がって落ちる。お世辞にも穏やかとは言えない目つきの朱眼で、前方の黒衣を眺めつつ、
「構いやしねぇよ。どうせ聞こえてて無視を決め込んでやがるだけだからな」
「……つくづく忠誠心というものがないな、貴様」
「生憎、国家に尻尾を振るような技師になったつもりはないもんでな。逆に誉め言葉だ」
「……歪んだ根性だな」
「くっくっく、こっち側に来たばかりだってのに、早い理解で助かるぜ」
 低く、妙に楽しげな含み笑いを漏らして、事も無げに言う。レンはどうもこの何を考えているのか判然としない白魔道技師が苦手だった。視ている世界が違うというか。だが、それはレアシスも同じか。
 一度、そう漏らしたことがある。
 白子の男は相変わらずの笑いを上げながら、こう言った。『てめえがまだこっち側を見ている証拠だな』。
「で、御大。くそ喧しいてめぇの腰巾着1号はどうした?」
「……君の評価は解り易いのか解りにくいのか、謎だよね」
 唐突に白魔道技師――カシスのかけた声に、レアシスは嘆息して振り向いた。無礼千万な言葉にも関わらず、彼の表情には怒り一つ浮かばない。
「彼女にはこの先を探索してもらってる。地底湖の周辺を重点的にね」
「……良いのか? 任せておいて」
 レンが目を潜める。カシスの言う腰巾着とは、レアシスの腰元に常に張り付いている黒い髪と服の少女のことだろう。
「こいつぁ、面白い。ロレンツィア配下で、ヤツにンなことを言うのはてめえくらいだろうよ」
「……まあ、レンはまだここに来て日が浅いからね。いろいろ実感がないだけだろう。
 大丈夫。あの子はああ見えても誇り高い竜一族の末裔だよ。僕らより……」
「主さまあああっ!」
 噂をすれば影とはこういうことを言うのか。レアシスの言葉を遮って、洞穴中に甲高い声が響き渡った。鼓膜がどうこうなるような音量ではないが、思わず耳を押さえたくなる。
「……誇り高い、ねえ」
「黙って」
 言い終えるより先に、レアシスの冷たい一声がカシスの台詞を撃墜する。
 暗闇の奥からひょこりと小さな頭が出た。暗い洞穴とはまるで場違いな、ファンシーなヘッドドレスのリボンがふりふりと揺れる。
「……シャル、大声は」
「た、大変なのです!」
「何か見つけたの?」
「た、大変なのです! ともかくこっち来てくださいなのですぅっ!」


「……」
 慌しく袖を引かれて駆けた先で、レアシスはすう、と目を細めた。感慨のない目でそれを見下ろす。
 一歩遅れて辿り着いたレンは眉間に深い皺を寄せ、またカシスは感情の灯らない口笛を吹いた。
 地底湖に生えた鍾乳の先から、ぽとんと水滴が落ちる。濁った地底湖の島のほとりに、それが横たわっていた。
「……これは、どういうことだ?」
「さあね」
 最初に口にしたのはレンだった。レアシスの袖を引いていたシャライヴが、てとてととレンに歩み寄って、ぐいぐいとマントの裾を引く。
「でかい無愛想。お前のマントを貸すのです。あのままは可哀相なのですー」
「……」
 搾取もいいところだが異論ない。目の毒だ。肩口に止めていた、鴉の金の紋章を外すと、シャライヴは洗濯物のシーツでも取り込むように、するりとレンの大きなマントを担いだ。
 てとてととまた“それ”の近くに戻ると、風呂敷のようにマントを開く。
 “それ”は一人の少女だった。
 年の頃なら15、6。長い銀の髪が、黄色を帯びた地底湖の岸辺に広がって、浅黒い滑らかな肌の肢体が、覆うものすらなく、そのままの姿で晒されている。気絶しているのか、眠っているのか、銀色の長い睫は深く閉じられていた。
「……暴徒か連中に先に見つからなくてよかったな。カシス」
「へいへい」
 抑揚のない声で命じたレアシスの声を瞬時に解して、カシスはシャライヴによって群青のマントで覆われた少女の傍らにしゃがみ込む。
 布一枚隔てた少女の裸体にはまるで興味なさそうに、脈を取り、額に、胸元に手を翳して眉間に皺を寄せる。
 レンは意外そうな表情でレアシスを見る。彼はただ一言、『普段の言動はともかく、あれでも医者だから』と答えた。
「……ふぅん……?」
「生きてはいるみたいだけど、何か?」
「……こいつぁ、拾って置いた方が賢明かもな」
 レアシスの問いに、カシスは何か含んだように口元を歪めながら答える。レアシスはすう、とさらに眉を潜めた。
「どのみち、ここに放り出しておくわけにもいかないけれどね」
「いいのか?」
「こんな場所に、全裸で倒れているような人間が、普通なわけないだろう? どっちに転ぶかはわからないけれど、話を聞く価値はありそうだ」
「くっくっく、残念。御大、50点だ」
「?」
 唐突に投げられた悪意のある言葉に、レアシスは立ち上がったカシスを振り返る。彼はくい、と顎でレンに合図を送った。
 溜め息を吐きながら、レンは少女に近寄って小柄な体を抱え上げた。マントの裾を握って、シャライヴが手を貸してくれる。少女の体は、驚くほど軽かった。
 その軽さに、どこか懐かしさを覚える。こっそりと唇を噛んで、浮かんだ感慨を打ち消した。
「……白髪の若年寄。どういうことなのですか?」
「白髪は生まれつきだ、つってんだろうがよ。ボケんのが早ぇんじゃねぇか、若作りババア」
「なっ! だーれがババアですかっ、誰が……っ!」
「カシス、シャル」
 抑えたレアシスの声に、シャライヴは罰が悪そうに口を噤んだ。それでも彼女はふん、と鼻で笑う魔道技師にべえ、と舌を出して唇を尖らせる。
 レアシスはこっそり息を吐いて、カシスへ視線を戻した。
「……それで、50点とはどういうこと?」
 その問いを待っていたかのように、カシスはにやりと唇の端を笑みの形に歪ませる。
「脈拍、呼吸数、潜在魔力、etc。精密検査が必要だな。――人間じゃねぇぜ、“それ”」
 


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*COMMENT-コメント-
▽カシス、医者だったんだよねえ
このメンツの中ではレンがまともだよ? 続きが楽しみです。うふふ
▽忘れてた
確かにレンが一番まともだ…。
がんばりまーす。
▽backlinks
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あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
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『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

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