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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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『Happily Ever After』01   (香月)

 カルミノ編前夜際を書き直してみた。他キャラまだ出てないけど。

 今見ると会話が果てしなくぶらっく。ハイエナ、コバンザメ、カササギてれーくん口悪いよ!
 さてこれからが試練だ。


===========================
 
 世の中には美徳というものがあるという。
 世論のいう美徳を総合すると、どうやらそれは他人のために生き、他人のために死と見え、他人かもしくはそれに順ずるもののために命を粗末にした者に与えられるらしい。なるほど、確かに大昔の伝承歌と伝記上、戦場で死んだ者は英雄、それ以外の場所で死した者は腰抜けと呼ばれた。
 されど、この美徳や英雄というレッテルは、人類にとっては己の命を差し置いても欲するほどの価値があるらしい。人間は神が自身に似せて創った創造物だ、という連中がいるが、だとしたらこんな自分に似た"死にたがり"を量産する神は余程のサディストか、自殺願望者かのどちらかである。
 これを目にする貴殿が、どのように立派な人間で、どのような理想と美徳を掲げているかは知らない。が、私は一人の英雄の話を残して置こうと思う。その男は戦場で死を志し、無様に生き残り、またその後の人生を謳歌してなお、英雄と語られる。とてもくだらない話である。


 最初に言って置こう。
 チェスは駒を取り合い、奪われた駒は死に、駒を討ち取った者が勝つゲームである。
 世界は巨大なチェス盤であり、我々は盤上の駒である。即ち、奪われれば返り咲けぬガラクタである。だからこそ、盤上を駆け回るイキモノとなる。


Continent's Cal 1668,9,23
Cassis = Bellsouth = Grethestead ,







 何故かは知らねど、階下から上がった歓声に、明後日へ飛ばしていた意識が水底から覚醒する。
「……カシス、聞いてた?」
 耳慣れたアルトが響いてくる。無論、答えはNOなわけだが、対面に腰掛けた相手は口の端に上らせるより先にそれを悟ったらしい。諦観の溜め息が漏れる。
 歓声が聞こえたと思ったら、階下の会場は耳障りな拍手に覆われた。だが、腰掛けているプライベートシートの一角は静まり返っている。まあ、ここにいる面子に拍手なんて酔狂なことができる人間はいないわな。
 瀟洒な柵から見下ろすと、大臣か宰相と思しき人間が、広間の壇上に下りて朗々と何かを語っている。無闇に広い大広間に満ちた活気と高揚感とは裏腹に、高度を変えただけのこの部屋はひどく冷えていた。
 たった今、自分に溜め息を吐いた人間は、言葉を伝えるのを諦めたのか、暗紅色のワインで満たされたグラスを同じ色のクロスがかかったテーブルに置く。
「……頭が痛む」
「くっくっく。何だ、心臓でも疼くのか? 狩りを前にしたハイエナの高揚か? それともらしくもない無責任な罪悪感か?」
「やめて置け、カシス。レアシスも人間だ。貴様もな」
 ぽそり、と漏れた言葉を野次ると、後方から静かな制止の声が飛んだ。ふん、と鼻で笑い飛ばして、自分に注がれていたグラスを煽る。跳ねた赤い雫が、白装束に斑紋を作るが、気には留めなかった。
 かつん、と音がして、奥から声を飛ばした紅い髪を垂らした男が隣に並んで眼下の風景を覗き見る。
「……随分と多いな」
「3000人、だったかな。一般人から貴族、王族、階級人種。共に様々だけど」
「さあて、そのうち何割が本気なんだか。まあ、何にしてもあの王様もこんなことで娘にいい相手を見つけられると本気で思ってるのかね。本気だったら頭ん中が真っ当かどうか」
「カシス。壁に耳ありだよ」
 今度は対面の主から。まったく、この世には言動の自由というものがないな。
 そう思って不貞腐れていると、今度は理解の溜め息が返ってきた。
「まあ、気持ちはわからないでもないけどね。
 四割はハイエナ、三割はコバンザメ、二割は光物目的の烏かカササギ。悪ければもっとかな」
「残りの一割は繁殖期のボス猿だろ。死肉を糧にするハイエナより質が悪ぃ。あっちを向こうがこっちを向こうが、結果は変わらねぇさ」
「……そうかもね」
 対面の少年は随分と時間をかけてワインの一滴を飲み込んだ。くっくっく、とまた低い笑いが喉の奥から込み上げる。ああ、馬鹿げた享楽だ。
「それで? てめぇはその内のどれに入るんだ? 御大」
「……さあ」
 答えて、彼はグラスワインの半分ほどを飲み干した。広間の馬鹿騒ぎは立食に移ったらしい。がやがやと傍目には賑やかな声が眼下から響いてくる。
 しばらく、少年は半分の目でその光景を眺めていた。目の奥は際限なく、冷えている。視線の先で松明の明かりが凍らないか、馬鹿な夢想をし始めたときだ。
 少年が、もたれていた手すりの向こう側に、グラスを持ち上げた手を乗り出した。

  ぱりぃぃぃんッ!!

 その嫌に澄んだ音は時間差で部屋まで届いた。騒がしいパーティ会場の一角だけが一瞬、静まり返って幾つかの悲鳴が木霊した。
 眼下の白翼の天使が描かれた華美な床の一部に、グラスの破片が砕け散って、赤い汚れた染みを作る。わざと狙って落としたのか、怪我をした人間はいないようだが、その一角の空気は一瞬、ぱきりと凍りついた。
 おやおや。大分と荒れている。立ち上がったその瞳には、最早何も映っていない。煌びやかなシャンデリアも、階下の天使も、自分たちさえも。憎悪と絶望に曇りきった眼は、ただ永遠に等しい奈落だけを眺めている。
「レアシス」
「……」
 今度は諫めるような声で、紅の髪の男は少年の名を呼んだ。だが、彼は聞く素振りも見せずに踵を返す。
「レン、カシス」
「……」
「……」
 無言でドアの前に立つと、背後の二人の名前を抑揚のない声で呼ぶ。紅の髪の男は構えるように腰に手を置く。自分は、というと、そのままの姿勢で拒絶がありありと見えている背中を見送った。
「滞在中は手はず通りに。あれに気取られないよう注意しろ」
「……了解」
「へいへい。馬鹿な真似はしねぇよ」
 返答にも少年は何も返さなかった。そのままドアを開けて、彼は音も立てずに廊下を渡っていく。その彼の背後に紅い髪の戦士はゆったりと身を動かしてついて行く。
 身体を伸ばして、テーブルの上に置き去りにされたワイン瓶を手に取る。たぷん、と残り少ない中身が揺れて波紋を描く。
 にたり、と嘲笑ってから、瓶の底にたゆたう混沌を飲み干した。



==============================
『Happily Ever After』 /中川翔子   youtube→


君に会う前の自分を忘れたみたいに
君が居た頃の記憶を忘れられたなら
どんなにいいだろう

数えきれない星屑の中
どこかでそっと見守ってくれてる光を
僕らは今もここで探してる

幸せはいつだって
失って初めて幸せと気付く
小さな不幸
今だってきっとまだ間に合うはずだから
願いはたったひとつ


呼吸と同じ数だけ泣いたその後に
待ち受けてたのはこの先
永遠に続く君なしの世界

100年たっても癒えない傷と伝えない言葉
それだけを道標にして僕らは今もここで生きている

幸せはいつだって
失って初めて幸せと気付く
小さな不幸
今だってきっとまだ間に合うはずだから
願いはたったひとつ

幸せはいつだって
失って初めて幸せと気付く
ささやかなこと

幸せはいつだって
失くして初めて幸せと気付く
たいせつなこと
今だってきっとまだ間に合うはずだから
願いはたったひとつ
どこまでも追いかけるよ


==========================

お祖父ちゃん←カシスな歌。もしくはカルミノ編、殿下は死ぬ気満々なので、後半は殿下←カシス。


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*COMMENT-コメント-
▽赤ワインの染みはすぐ叩いて取らないと!
いやあ、面白いな、カシスのモノローグ。この調子でかましてください。カシスの目から見たうちの連中がどのように形容されるんだか、楽しみだわ~~~♪
▽ちょっとわくわく
でもびくびく(^O^)/笑
ですねっどんなふうにうつるんだろう^^v
染みはとんとんと叩くようにとらないとですっもんだらだめですよ笑
▽やるわけがない(笑)
たぶん、後から気付いたエリシアさんか殿下がったく、もう…とか言いながら洗う羽目になる(お母さんか)。

口が悪いのはデフォルトです。私もどう斬り込んでくれるのか楽しみ。
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目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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