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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

2017.04│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『I'll be there』EPISODE2

あかねれークリスマス第2話。
カケラも陛下が出て来ない&カシルナ夫婦がいろいろヒドイ。
傍若無人とゆー言葉は彼らのためにある。

=====================================
 
「もういくつね~る~と~、くりすます~♪」
 作詞不明のぱくり歌を歌いながら、キリカが白い綿を温室のモミの木に乗せていく。キリカの手の届かない高い枝では、ラメの貼り付けられた小さなボールと星型とを、アルテミスがふよふよと浮かび上がりながらくくりつけている。
「よーし、お子様ども。飾りつけ終わったかー?」
「はーい」
「かあしゃ、メガホンはうるさ……」
「お黙り」
 ぺし、と小さな白髪頭に掌が落ちる。アルテミスは頭上を押さえて、むう、とふくれっ面を作った。キリカが駆け寄って「いたいのいたいのとんでけー」をしている。
「かあしゃ、おーぼー」
「うちじゃ私が法律よ」
「無茶苦茶だって」
 少し離れた台所に立っていたエクルーが思わず突っ込んだ。そのエクルーの背後では、リィンが整理をしながら、重い材料を運び込んでいて、アヤメが野菜を選んでいる。
「リィン、グレンはどうだって?」
「黒牛1匹とグラッコ3匹出してくれるってさ。それくらいあればお客さんが多くても平気だろ?」
「でも、準備が大変そうね」
「早めに始めとくよ。クロイツも手伝ってくれる、って言ってたから、後で牛を捌いてもらおう」
「クリスマスねえ……よくやるもんだ」
 温室のソファから気だるげな声が漏れる。メガホン片手に、リィンの兄弟たちに向けて温室の飾りつけを指示していたルナが、誰よりも早く、こめかみに血管を浮かべた。
 当然のようにソファに横たわっていた、でかい方の白髪頭を持っていたメガホンで殴りつける。なかなか元気な音がした。
「いってぇな! 何しやがる!?」
「うっさい! 3分の1は誰のためにやってると思ってんのよ! 生まれて初めて思ったけど、少しはエクルーを見習いなさい! これに限って! 他は習わなくていい、お互いに!」
「おい」
 なかなかにひどい言い草である。少しだけ、アヤメの表情がひきつって、リィンが汗を浮かべる。
 当のエクルーは既に馴れたことらしく、素知らぬ振りで人数分の昼食――黄桃のジャム入りパンケーキとチキンサンド――を焼いていた。
「カシスがここにいるなんて珍しいのね」
 ぽつり、とアヤメが漏らす。いつも自分のラボか、研究所に篭るときが多い彼が温室にいるというのは、確かに珍しい。
 カシスは苦虫を噛み潰したような表情で舌打ちをした。
「るっせぇな。あそこにいると、30過ぎのロリコンのおっさんのくだんねぇノロケに付き合わされんだよ」
「……そういえば、パールにデートを申し込んだって言ってたな」
「ンなことくらいではしゃぐな、つーの。ったく、いい迷惑だぜ」
「まあ、わからなくもないけど……」
「あんた、年下で妻子持ちなんだから、少しくらい余裕持ってやんなさいよ……大人気ないわね」
「30過ぎてデートの一つや二つで、しまらねえ面で絡んでくるヤツは一番大人気ねぇ。はしゃぐならものにしてからにしろ」
「あんたね……」
 エクルーはそれ以上、突っ込むのを諦めて、料理に集中することにした。材料を整理し終えたアヤメとリィンにお茶の用意を頼むと、乳白色の生地をフライパンで薄く焼く作業を再開する。オーブンの中のチキンもそろそろいい頃かおしれない。
「結局、何人くらい来るの?」
 リィンがキリカとアルテミス、それから兄弟たちにジュースを配っている間に、アヤメは薄めに入れたハーブティーをソファの脇のテーブルに置いた。
 ほっそりした手が差し出したティーカップを受け取りながら、ルナは軽く宙に視線を投げる。
「そーねー。まあ、カルミノのお姫様とかはかなり無理矢理来るみたいだし、お付きでパールも来るだろうし。
 シュアラからも結構、来るみたいだし。人が丁寧に来なくていい、って書いておいた奴まで来るしっ」
「馬鹿か。来るな、って書いたら、逆に来るに決まってるだろーが」
「で、まあ、あとはエイロネイアの御大様だけど」
 ルナは肩を竦める。
「音沙汰なし。まあ、エイロネイアでは聖霊祭なんて式典があるらしいからね。いろいろ忙しいんでしょーけど」
「聖霊祭?」
「24日の夜に年の始りを祝う式典、とか言ってたな。まあ、山ん中の大聖堂に国民が集まって、偶像に頭を下げるつまんねーしろもんだ。
 ちなみに御大はこのヒマな行事が大っ嫌いだが、取り締まるのは皇室だから強制的に表に出なけりゃならねぇ」
「あんたの主って、つくづく表に出る仕事が嫌いね……」
「かといって裏の仕事も嫌い嫌い言ってるけどな。ワーカホリックのくせに」
「じゃあ、来れないのか? あ、リィン、アヤメ、出来たヤツから持ってって」
 台所からエクルーがフライパン片手に温室を覗き込む。リィンとアヤメがパンケーキとサンドイッチの乗ったトレイを運ぶ中で、カシスはくつくつと、いつもの嫌味な笑いを漏らした。
「さてな。いいとこ大遅刻だろうよ。御大にゃ、他のでかい祭りも控えてるからな」
「あら、それは困るわね」
 そう呟いたのは、カシスとルナの元にサンドイッチを運んでいったアヤメだった。リィンはまた兄弟と二人の少女にもみくちゃにされている。
 アヤメの一言に、ルナが眉を潜めたとき、
「こんにちは。アヤメ、いる?」
 温室の入り口から声が響いた。ルナとアヤメが同時に顔を上げると、そこにはアヤメとよく似た面差しの、だが彼女より髪の短い(とは言っても少し前より大分伸びたのだけれど)少女が立っていた。
「いらっしゃい、アカネ」
「おかえり。最近、よく帰ってくるわねぇ。何、御大と喧嘩でもした?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
 アカネは何となく言いにくそうに、双子の姉を見た。アヤメはおっとりと笑って立ち上がる。
「ごめんね、ちょっとだけ行って来るわ。みんなをお願いします」
「? まあ、いいけど……」
 アヤメはそのまま、兄弟たちの相手をしているリィンに一声かけると、アカネに駆け寄った。二人でほぼ同時に頭を下げて温室を出て行く。
 入り口で、姉から何かこっそり囁かれたアカネが真っ赤になるのが見えて、ルナの唇がつり上がる。
「ふぅん、なるほど」
「何が?」
「あんたにゃ縁のない話よ。しゃーないわね」
 言い放ってからルナは台所までジュースを取りに行く。入れ違いに、足りない分のパンケーキをトレイに乗せて、エクルーが台所から出て来た。トレイを持った手とは逆の手に、古いラベルの黒瓶が握られているのを目に留めて、カシスは眉を潜めて笑う。
「ワイン派? ブランデー派?」
「後者だな」
「ならあげるよ。昔、キジローがかっぱらってきたVSOP。俺、ワイン派だし」
「……何か裏がありそうだな」
「前から思ってたけど、人を疑ってばかりだと楽しい人生送れないぜ? まあ、今回はその通りだけど。情報料としてはいい方だろ?」
 エクルーはにんまりと笑ってみせる。カシスはふん、と鼻で笑って、その手からブランデーの瓶をひったくる。栓を抜いて、手元にあったグラスに少量注ぐとソファにもたれてエクルーを見上げた。
「で、何が知りたい?」
「誤魔化すなよ。……さっきのことだよ。でかい祭り、ってどういうこと?」
 ほんの少し、真面目なトーンの低い声でエクルーは問いかける。対してカシスはブランデーの入ったグラスを回しながら、にやりと唇を吊り上げた。
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*COMMENT-コメント-
▽妙に通りのいいかしるー・こんび
すごい。チャットで飛び飛びに話した素材がすべて活かされている!
よくこれだけたくさんのキャラを同時に動かせるねえ。私は油断すると、すぐ2人の会話劇になっちゃうんだ。楽しい雰囲気でいい感じ。続きが楽しみ~♪
▽おおお///
私もヴァルさんに同感ですっ
ほんとにたくさん人が動いてるのに不自然じゃない…!!
すごすぎますっ!
おおきな祭りって何なんでしょう?どきどきわくわく
▽ありがとうございます///
いつも5人パーティをしっちゃかめっちゃかに動かしてるご利益かな? 場に4人くらいいるのが一番書き易い。
ルナちんが誰にでもボールを投げてくれるので助かるのです。

かしるーコンビは普段、るなるーばっかり目立ってあんまり会話しない代わりに、肝心なときに妙にお互い一言聞き漏らさないくらいが理想(何の)。

リィンの兄弟の中にたぶん、ラゴもいたと思うので出したかったけど自重しました。
私たちのチャットって完成度高いと思います。もったいないので、出来るだけ採用(笑)。

次回はきちんとあかねれーのターンです。
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目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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