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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

2017.04│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

『mezzo forte』外

ええと、『mezzo forte』その後というか夜描写でございます。
ごめんなさい、死んできます、許してください。
陛下、いつのまにそんな大人になってるの? お母さん、君をそんなふうに育てた覚え…ちょっとはあるけど。

ただのピロートークのつもりなんですけど、これ微裏ですか? 私が汚れてますか? っていうか微裏だね、うん。びくびく、ひくひく。

…すいません、正気に戻ります。

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 目が覚めて、体の妙な重さに気がついた。下腹にじんじんとした痛みが残っていて、全身がひどくだるい。でもけして不快な痛みではなかった。
 薄目を開けると闇の中に白い胸板が浮き上がって、否応なしに腰に回された手と自分の頭の下で枕になっている腕の温かさを直に感じてしまって。わかってはいても頭に血が上る。
「ん……」
 小さく身動ぎをし、不意に漏れた寝言にはっとして視線を上げる。
 自分を抱いたまま静かに寝息を立てる青年の、漆黒の瞳が深く閉じられているのに、アカネはほっと胸を撫で下ろした。
 アカネより3つ年上で、戦場で槍を振るい、大国の玉座に凛と座る青年が、あどけない寝顔を曝している。元々、童顔な顔つきだけれど、こうしていると普段より幼く見える。日頃、年不相応な振る舞いと言動が多いせいかもしれない。
 何となく微笑ましいような感情が湧いて、アカネは艶やかな黒髪を撫でてみる。ふと青年のはだけられた肩に目がいく。うっすらとだが、傷口の痕が残っていた。闇の中でよく目を凝らせば、白い胸板にも薄い傷口が残っている。

『僕はよほど恨まれているらしい。傷とはそういうものだから』

「……」
 眠りに落ちる前に聞いた言葉がリフレインする。でも、もうアカネは知っている。
 この傷が、代わりに誰かを守ってついたものだって。
「ん……?」
「あ、ごめんなさい。起こした?」
 傷口に頬を寄せて、体温の中で微睡もうとしたとき、小さな声と共に薄っすらと黒曜の瞳が開く。一瞬、ぼんやりとアカネを見た後にすう、と焦点が合ってゆっくりと微笑みが広がる。
 肩に置かれていた腕が、さらりとアカネの髪を愛おしげに梳く。とくり、と心が震える。それだけで心地良い。気持ちいい。
「眠れない?」
「ううん、ちょっと目が覚めただけ」
「そうか」
 またふ、と笑った。さらり、と黒髪が解けて落ちる。と、思ったら黒曜の瞳が視界いっぱいに広がって、アカネは目を閉じた。
 少し冷たい柔らかな感触が、唇に触れる。それに応えるために少し首を傾げて、喉を逸らす。少し下唇を下げて、彼を受け入れる。小鳥が親鳥のくちばしに餌を啄ばむように。
 おずおずと、唇を、熱を絡ませる。熱が優しく、けれど激しくアカネを受け取って愛撫する。ゆっくりと溶けていく。もうどこまでが自分の唇かわからない。
 だんだんと力の抜けていくアカネの華奢な身体を、腰に回していた腕が引き寄せる。熱の引いていた身体が、また熱い感覚に浸される。風邪を引いたみたい。鼓動が早くて、頭がぼうっとして、でも一つ違うのは寂しくも心細くもないということ。
 唇を離すと、溜め息のような吐息が漏れる。まだ不慣れなアカネは、2、3度呼吸を整えなくてはならなかった。「大丈夫?」と囁きながら、うなじに回されていた掌が、背中に下りてくる。平熱が低いはずの彼の手が、懐炉のように熱かった。
「だいじょうぶ……だけど」
「?」
「その……恥ずかしくて」
 くすり、と笑いが漏れた。何が可笑しいのか、そのまま数秒、肩を震わせる。アカネはむう、と頬を膨らませた。
「さっきまでもっと抱き合ってたのにね?」
 音を立ててアカネの頬が真っ赤に染まった。くすくすと、楽しそうな笑いが漏れた。
「もうっ!」
 アカネは羞恥を誤魔化すために、包まれた胸板に拳を軽く打ちつけた。華奢に見えるのに、びくともしないのが少し悔しい。くすっ、と悔しいくらい穏やかで心地良い声の笑いが、鼓膜を打って止まった。
「アカネ」
 熱を帯びた声が名前を呼ぶ。甘い痛みと熱が、胸を締めて溶かしていく。
 啄ばむような口付けが、目の端に浮かんでいた涙を拭う。ペヨの実のように染まった頬、カサブランカの花弁と同じように白く、細い指、それから桜色のくちびるに。
「ん……」
 今度は軽く触れるだけ。アカネが植物の葉を撫でるときのような、ささやかで優しい愛撫。
 無意識にお腹の辺りに置いていた手に、大きな、少し汗ばんでしっとりとした手が重ねられて、指と指が絡められる。アカネはしっかり握り返した。温かい。
「つらい?」
「ううん。ちょっと違和感があるだけ」
 それから何度か同じ口付けを繰り返す。温かさと込み上げる愛しさに、何度も涙が滲んだ。それを見つける度に、彼は優しい唇で拭ってくれた。
「……ねえ、レアシス?」
「?」
「えっと……」
 無意識に声を出してしまっていた。言うつもりなどなかった言葉を、直前になって飲み込んだ。
 このままでも十分に幸せなはずなのに。私、何を言おうとしていたんだろう?
「アカネ?」
「……ううん、何でもないの」
「アカネが嘘をやめないなら、僕も嘘をやめないよ?」
「……いじわる」
 アカネの唇がへの字に曲がる。視線を合わせないようにして、枕に顔を埋めながら、できるだけ小さな声でぽそりと、
「……って」
「?」
「きれい、って言わないのね……」
 耳をそばだてていたレアシスが、目を見開いてアカネを見た。アカネはうつぶせたままで、絶対に顔を上げようとしない。でも、真っ赤に染まった耳と、ぎゅ、と毛布を握り締めた手が、彼女の感情を如実に表している。
 すう、とレアシスの口元に笑みが広がった。

 細かに震える肩に手を置いて、絡めた指に少し力を入れると、さらに彼女の身体が強張るように脅える。
 脅えを溶くように触れる、撫でる。毛布に冷えた背中を温めるように。掌で、ときたま唇で。ひくり、とアカネの肩が別の震えに揺れた。
 少し竦めた肩と、艶やかな銀糸の映えるうなじとの合間に顔を埋める。さらりとした絹の髪を払い、白貝の耳を甘く食んで、それから、流れる声音で囁く。




 You are a beautiful miss. I love you. Neither your mind nor the body have been passed to nobody any longer. …My only princess.



 彼女の白い背中が熱を取り戻した。耳はさらに赤くなっていた。
 ほんの少しだけ強引に彼女の身体を持ち上げて、仰向けに顔を上げさせる。青い海の端から、水が零れている。今度は指でそれを拭った。
 頬を染めながら、少しだけ眉を寄せながら。アカネの顔に微笑みが広がっていく。照れたような微笑みに、レアシスは同じ微笑みを返すと、ゆっくりと身体を傾ける。

 水を湛えた青い泉が閉じられる。天上の月と星から青い泉を、白銀の花を、覆い隠すように、肢体を重ねて熱を生む。
 透明なガラスの天井から差すささやかな光を、自慢げに嘲笑いながら、安らぎの闇の象徴たる青年は、ぬくもりの中で花を育てる。
 夜の闇のみに咲く月下美人が、艶やかに花開くように。丹念に、時間をかけて。水を、歌う言葉を、優しく甘い口付けを。咲いた花の甘い香りと、甘い蜜を、どうか僕だけのために。


 闇色の聖夜、月下の夜想、甘い痛みと確かな想いのすべてを、君に。





「――おやすみ、my sleeping beauty of pure snow」





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*COMMENT-コメント-
▽どわああああ~
ねえ、私達どうしちゃったの?
何なの、この競争。もう、もう、バカになっちゃう~~っ! 脳みそ融ける~っ!
この数日の連続攻撃で、血圧上がっちゃったわよ、お母さんはっ! もう若くないのに……しくしく。
……でも、もう一回読もう……でへでへ。
▽明日あたり脳死すると思います
血圧がマジで持ちません。
書いてる途中で何度、陛下に「あんた何言ってるの? バカなの?」と突っ込んだことか…orz

ちなみにラストの『my sleeping beauty of pure snow』は直訳で『僕の純白の眠り姫』。
…だから。
何喋ってくれてんの、あんた…。
▽……
恥ずかしすぎて削った陛下の台詞を、もういいやと思って復活させました…

もう直訳とか…マジ勘弁です。
▽どへええええええ
陛下、陛下、どうしちゃったの?
こんな極甘セリフ、脳内麻薬でぶっ飛んでる時しか吐けないよね?
え? シラフでも昼間でも囁ける?
アカネをイヂメるためなら?

あああああああ~、黒陛下~~~っ(悶死)。
▽もう…
日本語ではとてもとても…(英語でもどーよ)
その通りらしいです(素面でもばりばりいける)。普段出ないだけで。
母さん、正直、君を化け物だと思うよ、うん。
▽きゃあああああああああああっ
は、鼻血鼻血鼻血(連呼すな)
香月さまっレアシス陛下素敵すぎますっ麗しい陛下の肢体が……(妄想中)
ああアカネちゃん可愛いーーっ陛下なんて甘い台詞をおっしゃるのっ朝からにまにましちゃってお隣の友人がひいてるわっ!(あああマイフレンズっちょっと待ってて)
ひいやああっもう今日は陛下の台詞を反芻しながら遊んできますっ
あああ…言われてみたい…っ!
そして私のキャラに全員言わせたらぶん殴りたくなるきもさに違いない…!!(おい)
私も修行しなければ(何を)

それじゃあグッドラックっ!!ノシ
▽しゅううう…
陛下の寝姿なら全キャラ中で一番長く描写できる自信がありますっ!!(変態)
フレンズ、引かないであげて。全部、うちの陛下が悪いから。何でここまで開き直ってるのか、お母さんにも理解できないから(待て)。

書け書けと脳内の陛下が五月蝿いので、英語表記で妥協しました。日本語とか…ムリ…
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織姫のお仕事
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すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
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『嘆キノ森』
 正面左右背後
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イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

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