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《賢者の石対策本部:みんなで幸せになろうよ》

谷地田ヴァルゥと、梧香月さん、日和小春さんの合作世界です。 原作で不遇なヤツ、不憫なヤツ、”双子の月が廻る世界”でみんな幸せになろう。

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ピエタ(その2)


 ひいひい泣き言を繰り返すあんちゃんを引きずって、山道を上がる。話を聞いているうちに殴りたくなったが、リューカに先を越されたので何とか我慢する。

「お前、俺たちが来なかったらどうするつもりだったんだ」
 中川マサオと名乗った青年は、ひいひい言うだけではっきりした説明をしない。
「都が、お前の奥さん助けに降りたんだろう。それを見捨ててお前だけ逃げるつもりだったのか」
「でも」
 さっきから、でもとかだってとか言い訳しかしない。ああ、殴りたい。
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ピエタ(その1)


 まったく。どいつもこいつも。
「父上。落ち着いて」
「そうよ。キジさん、そんな運転じゃ、幼稚園児とかお爺ちゃんとかシカとかツキノワグマを轢いちゃうわよ」
「シカとかクマだとこのミニバン潰れちゃうね」
「そうね。園児とか老人ならただ轢き殺すだけで済むけど」
 8歳の幼女コンビの妙に冷静な会話のおかげで少しクールダウンできた。とりあえず車の速度を落とす。確かに山道を70キロでは咄嗟に飛び出して来たカモシカと正面衝突を免れない。

南のほの暗い森で(その6)


 石段は険しかった。杉の古木と下生えの照葉樹から清々しい香りが漂ってくる。それと同時に湿った土の生臭い匂いも満ちていた。時々梢の間から見える空ももうとっぷり暮れてしまった。両側を大木に囲まれた細道より、空の方がずっと明るい。それでも石段のひとつひとつ、石の間に生える草までくっきりと見えていた。私を包む空気の中の水蒸気が青白く光っているんじゃないか、とぼんやり考えながら登り続けた。日中ずっと山歩きして夕食も食べていない。くたくたのはずなのに、なぜか疲れを感じなかった。

ほの暗い南の森で(その5)

 そこは、水色の光に満ちていた。明るい水色。水底に光源があるようだ。サンゴ礁の海は透明度が高いので、水深20メートルにあるものもクリアに見えて、浅瀬にあると錯覚するという話をぼんやり思い出していた。
 その女の人はすぐ傍に見えた。水面から手を伸ばしたら届きそうなほどに。でも試してみなくても彼女に触れるには深く潜らないといけないことはわかっていた。深い水底。竜宮に届くほどの奈落。時間の流れが違うほどの。
 彼女は両手の平をぴたりと合わせて、まるで何かを祈っているように見えた。水底に横たわって、両目を閉じて、何かを祈っている。まっすぐな薄緑がかった銀色の髪が長く渦巻いて横たわる彼女の身体を包んでいた。まっすぐな銀の長い髪。私は一昨日会ったメイさんの姿を思い出していた。メイさんは眠っている間、ここに来ているのかもしれない。時間のない夜も昼もない音のないこの空間に。

南のほの暗い森で(その4)


 これは何という色だろう。何という光。私が今見ているのは、何が発しているエネルギーなのだろう。

 中学校の理科の時間に色の原理を習った。赤い光は赤く見える波長の光。でも赤く見える物体は、赤の補色の青緑の光を吸収している。私たちには青緑を除いた波長の光が届いて赤く見えるだけなのだ。
 ではドンちゃんの青緑の髪は? 赤い色を吸収しているの? だからドンちゃんは赤い焔をまとった鏡ちゃんに懐いているのかしら。青い光は赤い光よりエネルギーが強いのだと習った。でも赤い光は深く遠くまで届く。だから鏡ちゃんは地下深くに守られた赤い石の精霊なのかしら。私の金と銀の髪は? 金の補色は何色なの? 私の髪はどんなエネルギーの光を吸収しているの?


青い昼寝 緑の散歩


 湖畔を明るい色のつばの広い帽子と、お揃いのワンピースに身を包んだ美しい少女が軽やかに歩いていく。背中までまっすぐに伸ばした髪はヤママユガの繭のような、オオミズアオの羽のような、ちょっと水色の入った薄緑。
 少女といっても、こっちの国の人には少女に見えるというだけで、孫が3人もいる50代の女性である。もっとも日本でもかなり若く見られる方らしい。しかも彼女が入っている時にはことさらに若く美しく見える。普段は見える人にしか見えない彼女だが、こうして人間の身体に入ってしまえば誰にでも見られる存在になるのだ。そしてどうやら、誰から見ても同じ外見らしい。
 普段は見える人にとっても、その人それぞれに違う姿に映る。
 葵さんには5歳ぐらいの少年に見えるらしい。
 俺には、今の彼女の姿とほぼ同じに見えている。つまり、葵さんそっくりの顔で薄緑色の髪と青緑の目の大人の女性だ。その姿は、ガキの頃初めて会った時から変わらない。俺はいつの間にか彼女の外見年齢を越してしまった。

南のほの暗い森で(その3)


 那智勝浦の温泉旅館に到着した時には、はしゃぎ疲れた白黒コンビが後部座席でぐっすり寝ていた。しかしそれ以上にグロッキーなのはドンちゃんだった。高速を下りたところから熊野本宮の方へ山側に抜ける予定だったのだが、田辺辺りでとうとう石に戻ってしまった。急遽、海岸沿いを走るルートに変更して海を臨む宿に落ち着いた。
目次(ヴァル)
「姫おり」過去編
織姫のお仕事
     4.0
   4.1 4.2

カルミノ編 1日目 『桜降る夜の森に』 2日目  『雷鳴の封印』  『拾い子』  『森の中の星空』 3日目  『再生の呪文』  『春日なる』 4日目 祝宴 お茶会  『おすそわけ』  
イドラ編 あかねるーver.  『茜さす』  『玉章の』  『ぬばたまの』  『真菰刈る』  『吾ぎ妹子の』  『シュアラの休日』  『天雲の』
いずみるーver. 『夢一夜』   『はじめの一歩』 外々? 『グレイの冬空』 『リィンの探検記』 『舞初め』 『忍ぶれど』 『色出でにけり』 『未遂』 『Fly me to the twine moon(その1)』 『ラプソディー(その1)』
すおみろい  『Baby Morning, Baby Night』  『Be Ambitious, Boys!』  『標野行き』 『Calling』   (上) (下) (おまけ) 『玉響詞(タマユラノウタ)』   『Honey suger hummingbird』 『すみれ色の指輪』 ぱーるる 『しろたえの』 『Agnus Dei』 『Sanctus』 『Kyrie eleison』 『夜の瞳』 『狼の宅急便』
3つ子&小町ズ&あるびー 『山笑う』 『魂100まで』  『明日に架ける橋』 『疳の虫 虫の知らせ』 『鈴猫』 『鬼灯(カガチ)』
あかねれー 『リカバリー70%』 ありしん
シュアラ編
エイロネイア編 らーじー 『風を悼み』 『禊の苑で』 『重なる月に寄せて(その1)』
目次(香月)
「姫おり」過去編
嘆キノ森シリーズ
『嘆キノ森』
 正面左右背後
 出口1
『嘆キノ森-PSI-missing-』
     

カルミノ編 前夜祭 『Happily Ever After』01 1日目 『Happily Ever After』02 『Happily Ever After』03 『Happily Ever After』04 『Happily Ever After』05 2日目 『Happily Ever After』06 『Happily Ever After』07 3日目 4日目 祝宴 お茶会  『romanesque』
イドラ編 あかねるーver.  『flying』  『アイルキスユー』  『輪舞-revolution-』

かしるな 『奈落の花』  EPISODE1  EPISODE2  EPISODE3  EPISODE FIN 『Trikstar』 『モノクロのキス』 Side:L 『GLORIA』    EPISODE Final 『TRANSMIGRATION』
あかねれー 『Never more』  Ⅰ.undelete 『I'll be there』   final 『FRIENDS』     『mezzo forte』     『赤い涙』     『too late? …』  Side:R   Side:A  Final!
ありしん 『瑠璃の鳥』    
シュアラ編 『Front breaking』 『Dell'oscurità per brillare』 『End symptom』 【露癒の祀】 拾壱>拾弐
エイロネイア編  『daily workⅠ』 『覚醒ヒロイズム』 EPISODE1 EPISODE2
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